ビタミンのサプリメントは認知症予防に有効か?エビデンスを元に解説します

ビタミン剤

 健康意識の高まりとともに現代では様々なサプリメントが販売されています。サプリメントは栄養補助食品のことでビタミン、ミネラル(カルシウム、鉄など)、必須脂肪酸(EPA, DHAなど)が有名です。まず前提として、サプリメントは食事を通常に摂っているヒトには必要でなく、疾患の予防効果はありません。しかし高齢者は食事摂取量の低下、胃腸機能の低下により潜在的に栄養不足を起こしていることがあります。ビタミンB1、B12、葉酸、ナイアシンは長期間欠乏すると認知症を起こすことが実証されています。「治せる認知症」で述べたように、ビタミン欠乏症は治療することで認知症症状を改善する可能性があります。診断をしっかり行えば、ビタミンのサプリメントはビタミン欠乏症による認知症発症を防ぐことができます。本記事では、代表的なサプリメントであるビタミンの認知症予防効果について解説します。

ビタミンB1

 アルコール多飲者、おかずをとらずに米飯ばかり食べているヒトにビタミンB1欠乏症が起こります。急性期は、ウェルニッケ脳症(意識障害・眼球運動障害・歩行失調)、慢性期はコルサコフ症候群を起こします。コルサコフ症候群が認知症の症状であり、記憶障害、作話が特徴的で、集中力低下や意欲低下を起こすこともあります。ビタミンB1は解糖系に作用するので、米飯などの炭水化物が多い食事を摂っているとビタミンB1が急激に消費され欠乏しやすくなります。

 食品では落花生、大豆、ボンレスハム、焼豚、うなぎ、たらこ、玄米に多く含まれています。

ビタミンB12、葉酸

 ビタミンB12と葉酸は同じ代謝サイクルで機能しているため、欠乏すると同様の認知機能障害を起こします。ビタミンB1欠乏症と同じくアルコール多飲者、偏食の強いヒトにビタミンB12欠乏症・葉酸欠乏症が起こります。更に萎縮性胃炎、大腸手術後のヒトにも起こることがあります。これはビタミンB12が胃で分泌される内因子と結合してから結腸で吸収されるため、胃疾患または腸疾患があるとビタミンB12が吸収されなくなることを示しています。症状は記憶障害、注意障害の他に抑うつ、せん妄、幻覚、妄想などの精神症状がみられることがあります。

 食品ではしじみ、あさり、あおのり、たらこ、にしん、さんま、ししゃも、さばなどにビタミンB12が多く含まれています。葉酸は焼きのり、うなぎ、枝豆、鶏レバーに多く含まれています。

ナイアシン

 とうもろこしを主食にしている民族がナイアシン欠乏を起こし、皮膚炎・下痢・認知症を特徴とするナイアシペラグラを発症しました。現代の日本ではよほどの偏食がないと発症しません。

 食品ではかつお節、かつお、落花生、かつお、たらこ、まぐろに多く含まれています。

ビタミンB6

 アルコール多飲者、腸疾患のヒトにビタミンB6欠乏症が起こりやすいですが、多くの食品に含まれているため、現代の日本ではほとんどありません。結核の治療薬であるイソニアジドを服用しているなど特殊なケースで見られます。

 食品ではにんにく、ぎんなん、まぐろ、かつお、大豆、さんまに多く含まれています。

ビタミンC

 アルツハイマー型認知症の危険因子と防御因子を検討した論文のシステマティックレビューで、エビデンスレベルは低いですが、ビタミンCがアルツハイマー型認知症の発症リスクを低下させたという報告がありました。またビタミンCは細胞死を起こすフリーラジカルの消去に関与する抗酸化作用があります。

Evidence-based prevention of Alzheimer’s disease: systematic review and meta-analysis of 243 observational prospective studies and 153 randomized controlled trials

 食品では煎茶、ブロッコリー、キャベツ、レモン、いちご、だいこん、キウイ、オレンジに多く含まれています。

ビタミンD

 ビタミンD欠乏と認知症の関連を調査した5件の研究のメタ解析で、ビタミンD欠乏患者で認知症リスクが高いという結果が示されました。ただしまだ一定の見解が出ていないため、更なる大規模研究が待たれます。

Vitamin D deficiency as a risk factor for dementia: a systematic review and meta-analysis

 食品ではきくらげ、かつお、にしん、うなぎ、塩ざけ、さんまに多く含まれています。ただしビタミンDは脂溶性ビタミンのため摂りすぎると過剰症になります。ビタミンD過剰症は頻尿、臓器への石灰化沈着、食欲不振などの中毒症状を起こすことがあります。

 以上、認知症を起こすビタミン欠乏症について解説しました。高齢者は認知症予防のため総合ビタミン剤の服用を検討しても良いかもしれません。ただしサプリメントは補助的な役割ですので、食生活をおろそかにしないことが前提になります。食生活で気をつけることは「認知症予防にオススメできる食習慣4選」で詳細を述べていますので参考にしてください。

(関連)日本発の抗酸化サプリメント「Twendee X」は認知症予防効果があるのか?軽度認知障害で改善しました。