今回、脳静脈血栓症、脳卒中の病態に関わる脳静脈洞、vascular unit、髄膜の構造をまとめました。特にNeurovascular unit、血液脳関門は最近のトピックになっています。
脳静脈洞の解剖

- 蝶形頭頂静脈洞、上眼静脈、下眼静脈→海綿静脈洞→上錐体静脈洞、下錐体静脈洞→内頸静脈
- 上矢状静脈洞、(下矢状静脈洞→直静脈洞)→横静脈洞→S状静脈洞→内頸静脈
海綿静脈洞内に存在する血管・神経
- III, IV, V(V1, V2), VI神経
- 内頚動脈
脳静脈血栓症のリスク因子
- 妊娠と産褥期
- 経口避妊薬の使用
- 悪性腫瘍
脳静脈血栓症の症状
- 頭痛:70-90%
- 痙攣:30-40%
- うっ血乳頭:30-60%
- 局所運動麻痺:30-50%
- 失語:15-20%
- 精神症状:15-20%
- 昏睡:5-15%
髄膜の構造
髄膜の解剖(外部リンク)
- 髄膜は硬膜・くも膜・軟膜で構成される
- 頭蓋骨-硬膜-くも膜-くも膜下腔-軟膜-脳実質
- 硬膜に囲まれた領域に静脈洞(例:上矢状静脈洞)
- 静脈洞内にくも膜顆粒
- くも膜下腔に髄液・動静脈が存在
Neurovascular unit
(内側)血管内皮- tight junction-基底膜(basal lamina)-マトリックス蛋白-周皮細胞(ペリサイト)-アストログリア足突起-アストログリア細胞体-ミクログリア-神経細胞(外側)

血液脳関門
- 脳の間質液の量をコントロールしている。血液脳関門の表面積は,血液脳脊髄液関門の5000倍以上である
- 血液脳関門の解剖は、毛細血管の壁に存在する内皮細胞とアストロサイトの間のタイトジャンクションである
- 分子量が400〜600 Da未満の脂溶性小分子は、血液脳関門を容易に通過することができる
- 神経組織維持のために必要な糖質、アミノ酸、脂質は通過できる
- 多くの薬剤やその他の小分子はこの関門を通過できない
- 脈絡叢・下垂体・松果体・正中隆起(漏斗部)・第四脳室下部(嘔吐中枢:CTZ)などには血液脳関門は存在しない