脳梗塞の抗血栓療法(脳卒中治療ガイドライン2021)

脳卒中治療ガイドライン2021 抗血栓療法

 脳卒中治療ガイドライン2021では、脳梗塞の抗血栓療法に関してシロスタゾールとDOACの位置づけがより明確になりました。発症早期(48時間以内)の非心原性脳梗塞の治療にシロスタゾール200mg/日単独投与、心原性脳塞栓症の治療にDOACを投与しても良いとされています。今回、脳梗塞の抗血栓療法を紹介します。

急性期脳梗塞の抗血栓療法

抗血小板療法

  • アスピリン160-300mg/日の経口投与は、発症早期(48時間以内)の脳梗塞患者の治療法として勧められる(推奨度A エビデンスレベル高)
  • 抗血小板薬2剤併用(アスピリンとクロピドグレル)は、発症早期の非心原性脳梗塞患者の亜急性期(1ヶ月以内を目安)までの治療法として勧められる(推奨度A エビデンスレベル高)
  • シロスタゾール(200mg/日)の単独投与や、低用量アスピリンとの2剤併用投与は、発症早期(48時間以内)の脳梗塞患者の治療として考慮しても良い(推奨度C エビデンスレベル中)
  • オザグレルナトリウム160mg/日の点滴投与は、非心原性脳梗塞患者の急性期治療法として考慮しても良い(推奨度C エビデンスレベル中)

※シロスタゾールの位置づけがより明確になった

抗凝固療法

  • 発症48時間以内の非心原性・非ラクナ脳梗塞に、アルガトロバンを静脈投与することを考慮しても良い(推奨度C エビデンスレベル中)
  • 脳梗塞急性期に、未分化ヘパリン、低分子ヘパリン(保険適用外)、ヘパリノイド(保険適用外)を使用することを考慮しても良い(推奨度C エビデンスレベル中)
  • 非弁膜症性心房細動を伴う脳梗塞急性期に、脳梗塞の重症度を考慮した上で、再発予防を目的にDOACを発症後早期に投与することを考慮しても良い(推奨度C エビデンスレベル低)

※抗凝固薬についてはすべて推奨度C

慢性期脳梗塞の抗血栓療法

抗血小板療法

  • 非心原性脳梗塞の再発予防には、抗血小板薬の投与を行うよう強く勧められる(推奨度A エビデンスレベル高)
  • 現段階で非心原性脳梗塞の再発予防に有効な抗血小板薬(本邦で使用可能なもの)は、アスピリン75-100mg/日、クロピドグレル75mg/日、シロスタゾール200mg/日(以上、推奨度A エビデンスレベル高)、チクロピジン200mg/日(推奨度B エビデンスレベル中)である
  • アスピリンとジピリダモールの併用は、わが国では勧められない(推奨度D エビデンスレベル中)
  • 長期の抗血小板薬2剤併用は、単剤と比較して優位な脳梗塞再発抑制効果は実証されておらず、むしろ出血性合併症を増加させるため、勧められない(推奨度D エビデンスレベル高)。ただし、頸部・頭蓋内動脈狭窄・閉塞や血管危険因子を複数有する非心原性脳梗塞には、シロスタゾールを含む抗血小板薬2剤の併用は妥当である(推奨度B エビデンスレベル中)
  • 出血時の対処が容易な処置・小手術(抜歯・白内障手術など)の施行時は、アスピリンの内服を続行することが勧められる(推奨度A エビデンスレベル中)。また、その他の抗血小板薬の内服を継続することは妥当である(推奨度B エビデンスレベル低)。出血高危険度の消化管内視鏡治療の場合は、血栓塞栓症の発症リスクが高い症例では、アスピリンまたはシロスタゾールへの置換を考慮しても良い(推奨度C エビデンスレベル低)

抗凝固療法

  • 非弁膜症性心房細動(NVAF)をともなう脳梗塞または一過性脳虚血発作(TIA)患者の再発予防には、DOAC、ワルファリンによる抗凝固療法を行うよう勧められる(推奨度A エビデンスレベル中)
  • NVAFに対するワルファリン療法は、70歳未満ではINR 2.0-3.0(推奨度A エビデンスレベル中)が勧められ、70歳以上では、INR 1.6-2.6が妥当である(推奨度B エビデンスレベル低)
  • DOACの使用可能な心房細動患者では、ワルファリンよりもDOACを選択するよう勧められる(推奨度A エビデンスレベル中)
  • DOACは、腎機能・年齢・体重・併用薬を考慮し、各薬剤の選択と容量調節を行うよう勧められる(推奨度A エビデンスレベル低)
  • 機械弁置換術後の患者では、ワルファリンによりINR 2.0-3.0で維持することが勧められる(推奨度A エビデンスレベル中)。一方、DOACは使用しないよう勧められる(推奨度E エビデンスレベル中)
  • 心房細動を伴うリウマチ性僧帽弁狭窄症の患者では、ワルファリンにより、INR 2.0-3.0に維持するよう勧められる(推奨度A エビデンスレベル低)

※DOACを中心に推奨度が変更されている