脳卒中は現在、日本の死因第4位ですが、寝たきりの原因第1位となっています。脳卒中・循環器病対策基本法が2019年12月に施行され、2021年より第二次「脳卒中と循環器病克服5ヵ年計画」が策定されました。今回、脳卒中の疫学と脳卒中・循環器病対策基本法まとめを紹介します。
脳卒中の疫学
- 脳卒中は日本の死因第4位
- 後期高齢者(75-89歳)の死因第1位
- 寝たきり(要介護5)の原因第1位
- 脳卒中・循環器病を合わせると要介護原因第1位(脳卒中単独では第2位)
- 脳卒中・循環器病の医療費は第1位(19.3%, 6兆596億円)。脳血管疾患単独では5.75%, 1兆8019億円。
- 脳梗塞は全脳卒中の60%、脳内出血は全脳卒中の20-25%
- 脳内出血は脳血管疾患による死亡総数の31%
第一次「脳卒中と循環器病克服5ヵ年計画」
- 2016年度から2020年の5年間遂行された
- 脳卒中、心不全、血管病(急性心筋梗塞、大動脈解離、大動脈破裂、末梢動脈疾患)を重要3疾病と位置づけ
- 「人材育成」「医療体制の充実」「登録事業の促進」「予防・国民への啓発」「臨床・基礎研究の強化」を5戦略として推進
大目標
- 脳卒中と循環器病による年齢調整死亡率を5年間で5%、10年間で10%減少させること
- 計画期間中の5年間で健康寿命を延伸させること
医療体制の充実
一次脳卒中センター(Primary Stroke Center: PSC)
- 週7日24時間体制で脳梗塞急性期患者に血栓溶解療法(rt-PA静注療療法)が可能であること
- 日本脳卒中学会が認定
- 脳梗塞急性期患者が60分以内に血栓溶解療法を受けることができる地域は、島嶼部などを除く99%に達した
- 血栓回収脳卒中センター(Thrombectomy-capable Stroke Center: TSC)及び包括的脳卒中センター(Comprehensive Stroke Center: CSC)の認定が進められている
脳卒中・循環器病対策基本法
正式名称:「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」
- 2018年12月に成立、2019年12月1日施行
- 2021年度から2025年度までを計画期間とする第二次「脳卒中と循環器病克服5ヵ年計画」を策定
第二次「脳卒中と循環器病克服5ヵ年計画」
- 第一次5ヵ年計画同様、「人材育成」「医療体制の充実」「登録事業の促進」「予防・国民への啓発」、「臨床・基礎研究の強化」を5戦略として掲げる
- 新たに、先天性疾患を含めた小児期の疾患を成人後もシームレスに診療できる医療体制の重要性を強調
- 災害時や新興感染症の流行下での医療体制の重要性を強調
大目標
- 脳卒中と循環器病による年齢調整死亡率を2020年に比較して5%減少させる
- 計画期間中の5年間で健康寿命をさらに延伸させる