脳卒中データバンク2021の紹介

脳卒中データバンク2021

 日本脳卒中データバンク(JSDB)が2015年版から5年ぶりに刷新されました。JSDBは国立循環器病研究センターが主体となって運営している脳卒中症例登録研究です。2021年1月時点で、全国130施設が参加し、急性期脳卒中患者166,991例が今回の解析に用いられています。JSDBの解析結果をまとめた本書を読むことで、日本における急性期脳卒中の疫学・病態・治療の傾向を把握することができます。

急性期脳卒中の傾向

  • 脳卒中患者の性差:男性 58.0%, 女性42.0%
脳卒中の病型
  • 後期高齢者(75歳~)では、脳梗塞 49.2%, 脳出血 36.8%, くも膜下出血 26.6%
脳梗塞のサブタイプ
脳卒中発症から来院までの時間
  • 脳梗塞発症から来院までの時間は、4.5時間未満 36.6%, 4.5時間~24時間未満 31.6%, 24時間以降~7日以内 31.7%とやや遅れる傾向があった
  • 救急車利用率は脳卒中 60.8%, 脳梗塞 52.9%, 脳出血 82.4%, くも膜下出血 85.6%で出血性脳卒中が高い傾向だった

急性期脳卒中の重症度

来院時意識レベル
  • 脳梗塞の来院時意識レベルは、JCS 0 54.6%, JCS I 33.4%, JCS II 8.4%, JCS III 3.6%で出血性脳卒中よりも良い傾向だった
  • 脳梗塞の来院時NIHSSは、0~5が61.5%, 6~10が15.9%, 11~15が7.2%, 16~20が5.5%, 21~25が4.0%, 26~が5.9%で、出血性脳卒中よりも軽症の傾向だった(脳梗塞中央値 4, 脳出血中央値 11)

脳卒中の危険因子

  • 危険因子は、脳梗塞が一般的な動脈硬化の危険因子や心疾患で多く、脳出血は高血圧と飲酒習慣で多い。くも膜下出血は現在の喫煙歴で最も多かった

脳梗塞の危険因子

  • 脳血管障害既往:28.2%
  • 心房細動:23.6%
  • 虚血性心疾患:8.1%
  • うっ血性心不全:2.2%
  • 高血圧症:70.6%
  • 脂質異常症:35.0%
  • 糖尿病:27.9%
  • 腎機能障害:8.5%
  • 肝疾患:0.7%
  • 悪性腫瘍:2.5%
  • 現在の喫煙習慣:25.4%
  • 飲酒(≧8単位/週):9.7%

脳卒中の予後

退院時自立度
  • 脳梗塞の退院時自立度は、mRS 0が16.1%, 1が24.9%, 2が15.2%, 3が11.2%, 4が17.2%, 5が10.7%, 6が4.7%
  • 完全自立(mRS 0-1)は、全脳卒中 37.1%, 脳梗塞 41.l0%, 脳出血 20.5%, くも膜下出血 42.8%で脳梗塞は脳出血よりも予後が良かった
  • 寝たきりまたは死亡(mRS 5-6)は、全脳卒中 19.7%, 脳梗塞 15.4%, 脳出血 32.2%, くも膜下出血 32.1%で脳梗塞は出血性脳卒中よりも少ない傾向だった。