脳卒中の症候と血管支配の要点

大脳

 脳卒中で手指のみの麻痺を認めるときは、precentral knob梗塞のことがあります。対側に陳旧性脳梗塞がある場合、同側の急性期病変で同側の麻痺を起こすことがあります。本記事では、脳卒中の症候と血管支配についてまとめました。

脳卒中の症候

  • 脳卒中の約6割で片麻痺を伴う
  • Pure motor hemiparesisは錐体路障害に起因し、初発脳梗塞の1割、ラクナ梗塞の5割を占める。
  • 錐体路:中心前回→放線冠→内包後脚→橋底部→延髄内側
  • 手指のみの麻痺:precentral knob infarction(中心前回後壁の膨隆部が手の運動野に相当する)
precentral knob
  • 同側性片麻痺:対側に陳旧性脳梗塞がある場合、同側の急性期病変で同側の麻痺を起こすことがある。
  • 機能性神経障害:器質的異常のない神経症状(麻痺など)。Arm Barreで上肢が回内せず下垂する、Hoover’s sign陽性で診断する。

感覚系

  • 内側毛帯(触覚・深部知覚):自発的なしびれ感やじんじん感を自覚
  • 脊髄視床路(温痛覚):自発的なしびれ感がなく、診察で異常が判明
  • 手口症候群:大脳皮質~脳幹病変。自発的なしびれ感が必発。口と手の感覚線維が隣接。視床病変が最も多い。

基底核

 被殻・淡蒼球・視床下核・尾状核など。

  • 被殻:周辺組織の障害による症状
被殻出血
  • 尾状核:認知・行動症状が中心。皮質の機能低下で行動障害を生じる。左右差は関係ない。

視床

 4本の血管から栄養を受けている

  1. tuberothalamic artery(polar a, premammilary a.):後交通動脈由来、視床前部を支配、塞栓性が多い。
  2. paramedian artery(thalamoperforating a.):後大脳動脈P1由来、視床内側を支配、塞栓性が多い。
  3. thalamogeniculate artery:後大脳動脈P2由来、視床外側(VPL, VPM核)を支配、ラクナ梗塞が多い。
  4. posterior choroidal artery:後大脳動脈P2由来、視床後部を支配
視床を栄養する血管
  • Pcom:後交通動脈、BA:脳底動脈、PCA:後大脳動脈

小脳

  • PICA領域:小脳半球および虫部の下1/3を支配。動脈硬化性、塞栓性が多い
  • AICA領域:小脳片葉を支配。動脈硬化性が多い
  • SCA領域:小脳半球および虫部の上2/3を支配。塞栓性が多い
小脳を栄養する血管
  • VA:椎骨動脈、PICA:後下小脳動脈、AICA:前下小脳動脈、SCA:上小脳動脈、BA:脳底動脈、PCA:後大脳動脈

脳幹

  • 中脳:動眼神経麻痺、垂直性眼振、対側片麻痺
  • :眼球運動障害(外転神経麻痺、核間性眼筋麻痺、one-and-a-half症候群)
  • 延髄
    • 外側→Wallenberg症候群。症状は遅れて出現することがある。
    • 内側→Dejerine症候群(病巣側の舌下神経麻痺、顔面を除く対側運動麻痺、対側の深部知覚障害)。舌下神経麻痺は多くない。