Apple watchなどのスマートウォッチは高齢者の健康管理、急変時の救命に期待できる

AppleWatch

 2020年6月18日にApple watch series6が発売されます。今回は新たに血中酸素飽和度(SpO2)を計測できる「血中酸素ウェルネス」が実装されます。日本では心電図の実装はまだですが、申請許可は下りているようですので、これを合わせると急変時の主原因である心肺機能のチェックが可能になるわけです。緊急通報SOS機能と組み合わせれば、急病の早期発見率を増やせる期待があります。今回は高齢者の健康管理、急変時の救命目的の観点でapple watchの機能を解説します。

酸素飽和度の計測

  動脈血酸素飽和度(SpO2)を計測する機器にはパルスオキシメーターがあります。こちらは爪床にプローブを取り付けることで血液中のヘモグロビンに何%の酸素が結合しているかを測定しています。100%が最大で、92%を切ると低酸素状態を疑います。80%台は早急に酸素投与をするなどして低酸素を解除する必要があります。

 Apple watchで実装される「血中酸素ウェルネス」も同機能と推測されます。Apple watchを装着した状態で就寝し、定常的にSpO2を測定してくれるのなら、夜間無呼吸になった際に低酸素状態を発見できるかもしれません。睡眠時無呼吸症候群の早期発見に繋がる期待があります。しかし、SpO2センサーは呼吸数を計測することはできませんので、無呼吸や頻呼吸の状態を直接知ることはできません。緊急のバイタルサインは呼吸数ですので、SpO2低下は無呼吸や頻呼吸を起こした後の結果を見ており、急変時からタイムラグがあると知っておく必要があります。もう一つ注意点は皮膚温が低い場合や不整脈がある場合はセンサーがうまく働かずSpO2を検出できない場合があります。高齢者は両方の条件が当てはまるため、まず健常状態で計測できているかを確認しておく必要があります。

心拍数の計測

 Apple watchは心拍数を自動的に記録してくれます。頻脈や徐脈を検出した際は通知を送る機能があります。Apple watchで頻脈の通知が届き、心臓アブレーション手術により救命できたというニュースが複数報じられています。心電図機能を組み合わせれば心房細動や伝導ブロックなどの治療を要する心疾患が早期に見つかるかもしれません。病院の心電図よりは不正確ですが、持続的に計測できる点はメリットがあります。

アクティビティリングを完成させることを目標にムーブ、エクササイズ、スタンドを習慣づける

 こちらはApple watch以外のapple製品で可能な機能ですが、アクティビティリングを文字盤に設定することで、視覚的に現在の活動量を知ることができます。目標消費カロリーの移動(赤)、約30分のエクササイズ(緑)、定期的なスタンド(青)を達成するとリングが完成します。リングが完成しないと居心地が悪くなりますので、半強制的に活動するきっかけになります。エクササイズはジョギングだけでなく、階段昇降、坂道の移動でもカウントできます。手動入力はできないようになっています。

アクティビティリング
アクティビティリング

転倒検出機能、GPS機能で早期発見する。

 転倒検出機能はApple watchを装着しているヒトが転倒した時、そのことを検知し手首に振動を与えて知らせてくれます。反応がない場合は警告音を鳴らしてカウントダウンを行い、それでも反応がない場合は緊急通報を行います。事故の早期発見に繋がります。

転倒検出
転倒検出機能

 GPS機能は事前に位置情報を共有していれば、「探す」アプリから「人を探す」を選択すると今いる場所を特定することができます。徘徊・迷子の恐れがある人への対策になります。

高齢者でも使用できるウェアラブルデバイス

 高齢者でも使用できる条件は「視認性が良い」「操作が単純」「サポートが優秀」です。Apple Watchの視認性は文字盤で時間を大きく表示されたデザインもあるのでそれを利用すれば良いでしょう。

シンプルな文字盤
シンプルな文字盤

 Series 5より文字盤の常時表示機能が搭載されたため、時間だけを知りたい時も手間がかからなくなりました。 操作は装着時にパスコードを要求されるのはハードルが高いです。セキュリティ上やむをえないことですが、家人が手動で解除するか、ペアリングしているiphoneのロック解除をするとapple watchも自動解除されるようになっています。心拍数、アクティビティ、酸素飽和度は装着しているだけで自動記録されます。手首刺激については不快に思い外してしまう場合があるためオフにした方が良いケースもあります。余計な通知が来ないように不要なアプリは削除しておくのが良いでしょう。「サポート」についてはapple care+を利用すれば新品交換可能してもられることが多いです。転倒などで物理的に壊してしまう可能性が高い人は入っておいた方が無難でしょう。

 今後、自動記録に期待したいのは体温ですが、手首などの末梢部の体温は気温に左右されやすいので精度はだいぶ低くなります。iphoneから測定できるようにする方が現実的でしょうか、血圧は実装しているスマートウォッチがあるため今後実現する可能性があります。病院の検査データの転送機能は今後広がって欲しいです。血液検査結果から食事や運動の指導がフィードバックされるなど、より個人に即した健康習慣を実践できます。Apple watchは今後もヘルスケアを重視したサービスが増えていくと思われます。その際、高齢者でも扱えるシンプルモードと軽量化をお願いしたいです。

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iPhoneやApple Watchを利用した健康管理

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yshima脳神経内科医
認知症専門医の資格を持つ脳神経内科医です。 神経内科専門医・指導医、総合内科専門医・指導医、認知症サポート医。 M.D., Ph.D.