くも膜下出血の治療(脳卒中治療ガイドライン2021)

脳卒中治療ガイドライン2021 くも膜下出血

 脳卒中治療ガイドライン2021におけるくも膜下出血の対応は、CTで診断がつかない場合、MRI・腰椎穿刺の妥当性、軽症から中等症の降圧目標としてsBP 160mmHg未満が追加されています。今回、くも膜下出血の治療を紹介します。

初期治療

  • 脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血は診断の遅れが転帰の悪化につながるため、迅速で的確な診断と専門医による治療を行うよう勧められる(推奨度A エビデンスレベル低)
  • CTで判断がつかない場合は、腰椎穿刺またはMRIなどを行うことは妥当である(推奨度B エビデンスレベル中)
  • くも膜下出血と診断された場合、発症直後は再出血を予防するため、安静を保ち、侵襲的な検査や処置を避けることは妥当である(推奨度B エビデンスレベル中)
  • 再出血予防のためには、十分な鎮痛・鎮静を施すことは妥当である(推奨度B エビデンスレベル低)
  • 軽症、中等症では収縮期血圧を160mmHg未満に降圧することが妥当である(推奨度B エビデンスレベル高)
  • 重症例においては、脳循環の改善が重要であり、高浸透圧利尿薬の投与、心肺合併症に注意した全身循環の管理を行うことが妥当である(推奨度B エビデンスレベル低)
  • 入院時検査で出血源となる血管異常を認めなかった場合、時間をあけて再度出血源検査を行うことは妥当である(推奨度B エビデンスレベル低)

脳動脈瘤の治療法選択

  • 破裂脳動脈瘤では再出血の予防が極めて重要であり、予防処置として、開頭による外科的治療あるいは開頭を要しない血管内治療を行うよう勧められる(推奨度A エビデンスレベル低)
  • 動脈瘤の治療法は、開頭外科治療と血管内治療のそれぞれの立場から患者と脳動脈瘤の所見を総合的に判断して決定することは妥当である(推奨度B エビデンスレベル中)
  • 重症でない例(重症度分類のGrade I-III)では年齢、全身合併症、治療の難度などの制約がない限り、早期(発症72時間以内)に再出血予防処置を行うことは妥当である(推奨度B エビデンスレベル中)
  • 比較的重症例(重症度分類のGrade IV)では患者の年齢、動脈瘤の部位などを考え、再出血予防処置の適否を考慮しても良い(推奨度C エビデンスレベル低)
  • 最重症例(重症度分類のGrade V)では、原則として急性期の再出血予防措置の適応は乏しいが、状態の改善がみられれば再出血予防処置を考慮しても良い(推奨度C エビデンスレベル低)

脳動脈瘤の血管内治療

  • 血管内治療も外科的治療と同様、出血後早期に施行することは妥当である(推奨度B エビデンスレベル中)

血管内治療の周術期管理

  • 周術期管理には脳室ドレナージもしくは腰椎ドレナージを考慮することは妥当である(推奨度B エビデンスレベル中)

Clinical Question

  • Q.CTで脳槽の描出が不明瞭な軽症くも膜下出血症例では、腰椎穿刺を行うことが推奨されるか?
  • A. CTでくも膜下出血が不明瞭な場合には、MRI(FLAIRやT2*強調像を含む)を撮影することは妥当である(推奨度B エビデンスレベル低)。それでも診断ができない場合には腰椎穿刺を行うことが妥当である(推奨度B エビデンスレベル中)。
  • Q. くも膜下出血の遅発性脳血管攣縮の予防に持続髄液ドレナージ留置は推奨されるか?
  • A.  急性期開頭手術例では脳槽ドレナージの留置が妥当である(推奨度B エビデンスレベル中)。血管内治療例では、腰椎ドレナージの留置を考慮しても良い(推奨度C エビデンスレベル低)