生活支援ロボットは高齢者の活動範囲を大きく広げ、認知症予防に繋がる期待がある

ロボット

 ロボットと聞けば、SFや未来に登場する想像物、あるいは工場での製造を担う産業ロボットをイメージする方が多いと思います。近年、ロボットは個人の生活支援を目的としても研究・開発が進められています。有名なところではSoftBankの「Pepper」が店頭ガイダンス目的で設置されているのを見かけたことがあると思います。顔認証で人を認識することで、簡単な会話が成立するよう設計されています。このタイプはコミュニケーションロボットと言われています。また、歩行を補助する装着型ロボットや、可愛い仕草や鳴き声で心を癒やしてくれるペット型ロボットも続々と開発されています。これら生活支援ロボットは超高齢社会の日本において需要がますます高まっていくと考えます。今回認知症予防の観点から、生活支援ロボットについて私が体験したものを含めて紹介します。

移動介助装着型ロボット「HAL」は歩く意思に反応して筋肉を動かすパワードスーツ

 装着型ロボット「HAL」は近未来を感じさせる外観とシステムを備えています。人は体を動かそうとする時、脳から筋肉に神経を介して電気信号を送ります。その際、皮膚表面に接地した「HAL」のセンサーが電気信号を感知し、「HAL」が筋肉を動かして動作を起こすよう働きかけます。筋肉が実際に動くと脳はフィードバックの信号を受けるので、より脳は活性化して筋肉に信号を送ることができるようになります。この効果により「HAL」は脳血管障害や脊髄障害のリハビリテーション目的で使用されています。

 以前デモを見せてもらったことがありますが、麻痺で動かせなかった足が「HAL」を用いたリハビリテーション中に膝を持ち上げたところを見た時は感動した思い出があります。現在は機能回復目的が主体ですが、将来移動補助、筋力増強目的での利用も期待できるロボットです。歩行が困難になった認知症者に装着してもらい、足と脳を両方活性化させるような未来がくるかもしれません。

ペット型ロボット「パロ」は要介護者だけでなく介護者の心も癒やす

 コミュニケーションロボット、ペット型ロボットは、声やタッチに反応して体を動かす、鳴き声を出すもの、会話を通してコミュニケーションがとれるものなど様々なタイプが開発されています。この中でメンタルコミットロボット「パロ」は医療施設や介護福祉施設での利用が増えています。姿はアザラシで、体に触る・話しかけるなどの行為を受けると首を傾げたり、前足後ろ足を動かしたり、鳴き声をあげたりと非常に愛くるしい反応を見せてくれます。またしばらく構われないとおねだりをしたりすねたりする学習効果も持っています。生きているペットに近いコンセプトで設計されています。

 「パロ」をデモで使わせてもらったことがありますが、いつも所在なさげに車椅子に座っている患者さんが、「パロ」を撫でたり、隣の人に触らせたりするなど、「パロ」を通して会話量や日中の覚醒時間が増えている実感を持ちました。また副産物として看護師や看護助手も「パロ」を囲んで写真を撮る、会話が弾むなどいつも以上に明るい雰囲気をもたらす効果がありました。デモ終了後に患者さんから「パロ」はどこに行ったの?と聞かれた時は、効果があったことに喜びつつも申し訳ない気持ちになりました。他には「LOVOT(ラボット)」というロボットもペットを飼っている感覚で接することができます。まだ個人が入手するには高額なものが多いですが、将来のコミュニケーション、癒しツールとしてこれらのロボットは需要が高くなると考えます。社会的な関わりをロボットとのコミュニケーションで確立できれば認知症予防の一助になる期待があります。

アバターロボットは現実では叶わない行動を疑似体験できるようになる

 アバターロボットは人が遠隔操作することで様々な行動を体験できるロボットです。家事支援サービス「Ugo」は洗濯や洗濯をたたむなどの家事支援を遠隔操作で行うことができます。また分身ロボット「OriHime」は遠隔操作で遠くにいる家族とコミュニケーションがとれるロボットです。顔や腕を動かすモーション機能も備えています。アバターロボットはバーチャルリアリティ機能と組み合わせて、現実では経験できない活動や光景を疑似体験できる可能性を秘めています。歩行が難しくなった方、認知症で自動車運転や趣味が続けられなくなった方、重病でベッド中心の生活の方でもアバターロボットを用いることで、旅行や催し物に参加できる未来が期待できます。