脳卒中急性期のリハビリテーションの要点

リハビリテーション

 脳卒中急性期リハビリテーションの開始時期は諸説がありますが、合併症がなければ発症1-2日以内に開始することをすすめられています。ベッドサイドでROM訓練・筋力増強訓練を行い、座位・立位・上肢機能訓練へと拡大していきます。今回、脳卒中急性期リハビリテーションの要点を紹介します。

脳卒中リハビリテーションの流れ

  1. ベッドサイドでのROM訓練・筋力増強訓練
  2. 座位訓練・立位訓練
  3. 上肢機能訓練
  4. 歩行訓練
  5. 日常生活動作訓練
  6. 階段昇降訓練
  • 嚥下訓練は間接訓練→直接訓練・食形態調整ですすめる
  • 高次脳機能訓練は失語・失行・注意障害などに対して行う

脳卒中発症後の早期離床

  • 脳卒中の機能、能力的回復と最適な離床のタイミング、訓練量および頻度の関連性については未だに議論のあるところ
  • 症例ごとにリスクを考えた上で、医学的に可能なら発症から24-48時間以内に寝返り・座位・セルフケアなどの自動運動を開始することが妥当

脳卒中急性期の合併症

Stroke. 2008; 39: 414-20

  • 脳卒中急性期患者489名において発症1週間以内に63.8%の症例で合併症を認めた
  • 尿路感染症や呼吸器感染症を含む発熱が23.7%に認められた
  • 心不全の悪化にも留意が必要
  • 多くの合併症は発症4日以内に認められ、脳卒中重症度が最も重要なリスク因子である

評価・予測

  • 総合評価:Fugl-Meyer Assessment、脳卒中重症度スケール(JSS)、SIAS、NIHSSの少なくとも1つ
  • 運動麻痺評価:Brunnstrom stage
  • 筋緊張評価:modified Ashworth Scale
  • 能力低下:FIM、Barthel indexの少なくとも1つ。modified Rankin scale(mRS)

歩行障害のリハビリテーション

  • 歩行機能の改善には、歩行に関連する下肢訓練の量を多くすることや頻回の歩行訓練を行う
  • specific walking training(バイオフィードバック(聴覚フィードバックなど)や電気的デバイス、トレッドミルを用いた訓練)は通常の歩行訓練より有効
  • 発症後3ヶ月以内の歩行補助ロボットを用いた歩行訓練の有効性が報告されている
  • 反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)が、急性期~慢性期の脳卒中患者の歩行速度・下肢機能に有効だった。

装具療法

短下肢装具

  • 動的バランスの改善、麻痺側下肢による立脚期の延長、麻痺側下肢の振り出しの改善、麻痺側下肢の安定性の改善。
  • 立位バランスの左右対称性、1分間あたりの歩数、歩行速度の改善

長下肢装具

  • 長下肢装具の使用による直接の効果を示すエビデンスは乏しい
  • 抗重力的活動を促す機会を多く確保するために有効
  • 運動学習の観点からも、関節を固定し歩行の難易度を調節しながら歩行獲得に向けた訓練が可能となる

上肢機能障害に対するリハビリテーション

  • 麻痺が軽度から中等度の患者に対して特定の動作の反復を伴った機能訓練(課題志向型訓練、CI療法など)
  • 中等度から重度の上肢麻痺患者におけるロボットを用いた上肢運動訓練
  • Mirror Therapy、バーチャルリアリティなど視覚刺激を利用した訓練
  • 患者の選択と安全面に注意した上で、反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)や経頭蓋直流電気刺激(tDCS)の使用
  • 促通反復療法、末梢への振動刺激や感覚刺激
  • 中等度の麻痺筋(手関節背屈筋、手指伸筋など)に対する電気刺激の使用

CI療法(constraint induced movement therapy)

  • 非麻痺側上肢を拘束しつつ、麻痺側上肢を段階的に訓練する。また日常生活の中で、麻痺側上肢を強制使用する
  • 標準的なプロトコールとしては、療法士がマンツーマンで1日5-6時間程度の訓練を行う。また、健側上肢の拘束時間については、起きている時間(活動時間)の90%とする報告が多い

CI療法のメカニズム

  • 学習性不使用(learned non-use)の克服
  • 使用依存性の脳の可塑性(use-dependent plasticity)

嚥下機能の評価

反復唾液嚥下テスト(RSST、repetitive saliva swallowing test)

  • 30秒間に何回「ごっくん」(空嚥下)ができるか?
  • 正常は3回以上。2回以下や喉頭挙上の低下は嚥下障害を疑う

改訂水のみテスト(MWST、Modified Water Swallowing Test)

  • 冷水3mlを口腔内に入れ嚥下させる(1-5点で評価)

フードテスト(FT、food test)

  • プリン茶さじ1杯(約4g)を口腔内に入れ嚥下させる(1-5点で評価)

高次脳機能障害の評価

  • 意識障害:JCS, GCS
  • 注意障害:Trail Making Test(TMT)
  • 前頭葉障害:Wisconsin Card Sorting Test(WCST)
  • 半側空間無視:Albertの線分抹消テスト、Behavioral Inattention Test(BIT)行動性無視検査
  • 失語症:Standard language test of aphasia(SLTA)、Western aphasia battery(WAB)
  • 知能障害:MMSE, HDS-R, ウェクスラー成人知能評価尺度改訂版(WAIS-R)、コース立方体組み合わせテスト、レーブン色彩マトリックス検査、ウェクスラー記憶評価尺度改訂版
  • 記憶障害:Benton視覚記名検査、レイの複雑図形検査

Functional Independence Measure(FIM)

  • 18項目(運動項目13, 認知項目 5)のADLを各1-7点で評価