もやもや病の診断の要点

もやもや病

 もやもや病は2018年のガイドライン改定により画像による診断基準が変更になっています。脳血管撮影で、内頚動脈終末部の閉塞・狭窄ともやもや血管があれば片側でももやもや病と診断できます。MRAのみでは両側性が必要です。今回、もやもや病の診断の要点を紹介します。

病態

  • 内頚動脈終末部に慢性進行性の狭窄を生じ、側副血行路として脳底部に異常血管網が形成される病態
  • 指定難病22。難病指定医による診断、疾患認定。医療費扶助の対象

診断

脳血管撮影による診断

  • 頭蓋内内頚動脈終末部を中心とした領域に狭窄または閉塞がみられる
  • その付近に異常血管網(もやもや血管)が動脈相においてみられる

MRIによる診断

 MRIとMRAが以下全てを満たす場合には脳血管撮影は省略可

  1. MRAで頭蓋内内頚動脈終末部を中心とした領域に狭窄または閉塞がみられる
  2. MRAで大脳基底核部に異常血管網がみられる
  3. 上記所見を両側性に認める

異常血管網(もやもや血管)の判定

  • MRI上、大脳基底核部に少なくとも一側で2つ以上の明らかなflow voidを認める場合
  • 3Tで撮像されたT2強調画像やMRAで脳底部シルビウス槽に通常の中大脳動脈水平部のflow voidとは異なる異常血管網を認めた場合

もやもや病診断・治療ガイドライン2018での改訂事項

  • 脳血管撮影で、もやもや病に特異的な所見が確認される場合には、両側・片側にかかわらず、もやもや病と診断する(成人・小児を問わない)

類もやもや病

 基礎疾患を伴うもやもや病(広義のもやもや病)。手術適応や治療法はもやもや病に準じて決定可能

  • 動脈硬化
  • 自己免疫疾患
  • 髄膜炎
  • 神経線維腫症I型
  • 脳腫瘍
  • Down症候群

 もやもや病の診断フローチャート

もやもや病診断フローチャート

病理学的特徴

  • 内膜肥厚:内弾性板の湾曲と多層化・間質における壊死細胞の蓄積・血管平滑筋細胞の増殖
  • 中膜の菲薄化:血管平滑筋細胞の変性・細胞死
  • 内弾性板の屈曲・蛇行
  • 内膜肥厚は成人>小児、中膜菲薄化は成人=小児

病因

疾患感受性遺伝子 RNF213(ring finger protein213, 17q253)

  • もやもや病の約15%に家族性が認められる
  • 一つのミスセンス変異を同定(RNF213c.14576G>A(p.R4859K, rs112735431)
  • 日本人のもやもや病の約80%がこの変異を有する
  • ほとんどがheterozygousの変異
  • homozygousの変異が重症化や低年齢での発症に関連

発症形式

  • TIA、脳梗塞、脳出血が多い
  • 頭痛・てんかんで発症することもある
  • 若年では梗塞が多く、成人では出血が多い

外科治療

虚血発症

 頭蓋外内血行再建術が勧められる(グレードB)

(適応)

  • 脳虚血症状を呈する(TIA、minor stroke)
  • 脳循環不全を有する
  • 日常生活自立(mRS0-2)
  • 1血管支配領域に及ぶ大梗塞がないこと

出血発症

 頭蓋外内血行再建術が再出血率を低下させるという報告があり、特に予後不良である後方出血例に対しては手術が勧められる(グレードB)

(適応)

  • 成人16-65歳
  • 出血発症から1ヶ月以上
  • 日常生活自立(mRS1-2)
  • 広範な脳損傷がないこと
  • 後方循環系領域の出血

外科治療

直接血行再建術

  • STA-MCA anastomosis

間接血行再建術

  • encephalo-myo-synagiosis(EMS):脳表に筋肉を接着
  • encephalo-arterio-synagiosis(EAS):血管を接着
  • encephalo-duro-synagiosis(EDS):硬膜を接着
  • multiple burr hole surgery

複合血行再建術

  • 直接と間接の複合

周術期合併症

過灌流症候群

  • 症候:遅発性出血・一過性局所神経脱落症状
  • 対策:予防的降圧・ミノサイクリン・エダラボンが有効
  • 頻度:もやもや病>動脈硬化性疾患

虚血性合併症(watershed shift現象)

  • 吻合局所の血流改善→隣接皮質の血流低下
  • 頻度:成人10.9%, 小児22.7%
  • 対策:術後早期の抗血小板薬再開、double bypass

内科的治療

  • 虚血発症もやもや病の超急性期においてはrt-PAによる血栓溶解療法を考慮しても良いが、症例ごとの出血リスクを鑑みての慎重な判断が必要である(グレードC1)
  • 虚血発症のもやもや病の内科的治療として抗血小板薬の服用を考慮して良いが、十分な科学的根拠はない(グレードC1)