現役医師が勉強時間を生み出した方法を解説します。朝の時間を活用して専門医試験に合格しました。

朝活

 社会人になると日常の業務に追われてなかなか勉強する時間を持てない人が多いと思います。私も日々の臨床業務を行う傍ら、専門医試験の勉強、学会の演題発表、論文執筆の時間をどう捻出するか頭を悩ませていました。仕事を終えて帰っても「入院患者の病態が変わりました」「救急入院の相談があります」などの電話がかかってくることも稀ではありません。そもそも夜は心身ともクタクタで勉強する気力が出ません。夕食を食べて、テレビやSNSを見て、お風呂に入ってそのまま就寝という日々が続くこともありました。以上から「夜は勉強できない」という結論に至り、「それなら出勤前の朝に勉強するしかない」という考えに切り替えました。本記事では「朝に勉強する」いわゆる「朝活」について、医師のような時間がなかなか作れない方でも実践できる方法について解説します。

朝は時間の宝庫

 起床後の脳は疲れもとれインプットに最適な状態です。また仕事の問い合わせも、出社後まで待てるものがほとんどでまずくることはありません。自分だけの時間が持てるゴールデンタイムと言えます。この時間に自分が勉強したいこと、インプットしたいことに割り当てれば作業効率が格段にアップします。ただし睡眠時間が確保されていることが前提です。知的活動をするのに最適な睡眠時間は6-8時間と言われています。早起きをするのなら早く寝ることが大事です。睡眠時間を念頭に就寝時間と起床時間を決定してください。

ライフログアプリに毎日の行動を記録し不要な時間がないかチェックする

 まず朝に自分がどのような行動をしているのか記録してください。Excelで時間と行動内容を記録するのも良いですが、最近は良質なアプリが提供されています。私は「Taskuma(たすくま)」というタスク管理アプリを使用しています。有料ですが、行動(タスク)を時間単位で入力でき、後からライフログとして見返すことができるので重宝しています。

朝活1

 こちらは私の数年前のライフログです。「たすくま」はEvernoteなどにライフログを記録して後から改善点を検討することができます。この時期は総合内科専門医試験を受けるため朝に勉強することを決断していたので、すでに勉強時間を設定しています。ただいくつか無駄な部分が隠れているのに気付かされます。

  1. m3ポイント確認:こちらはm3.comという医療系ニュースサイトを閲覧している時間です。情報収集目的もあり残していますが、夜に回しても良いかもしれません。
  2. 起床、更衣、体重測定:日課なので変更困難なタスクです。
  3. 髭剃り:17分かけていますが、実はこの時Webサイトの巡回やメールチェックに時間を費やしています。ながら作業になりがちなので短縮可能と考えます。
  4. 暗記復習午前:前日覚えた内容を復習しています。こちらは習慣化したいタスクです。
  5. 洗面、朝食準備、朝食:日課なので変更困難なタスクです。
  6. 総合内科専門医試験勉強最も重要なタスクです。何があろうと必ず30分の枠を作るようにしました。
  7. トイレ:日課のため変更困難なタスクです。
  8. 出勤:実は「総合内科専門医試験勉強」と「トイレ」の間に30分の空白時間があります。この時はネットサーフィンでだらだらと時間を潰していました。

 この時点ですでに勉強時間を確保していますが、ここから更に30-40分の時間が作れそうです。このように日々の活動を記録し見返すことで、どこに無駄な時間があるかを発見し、勉強時間に割り当てられるかを視覚的に確認することができます。またついWebサイトやSNSの閲覧に気持ちが流されそうになるとき、ライフログにこのような行動を残したくないという心理が働き、踏みとどまることができるメリットがあります。

タスク管理アプリに勉強時間を組み入れて機械的に実行できるようにする

 自分の行動パターンが分かれば、勉強時間確保のために新たなタスクを組みます。この工程も「Taskuma(たすくま)」で行いました。私は前日の夜に次の日のタスクを作るようにしています。一度タスクを組めば、当日は何も考えずに実行してください。実行するかやめるかをいちいち考えるとそれだけで脳に負担がかかり作業効率が落ちます。そのため機械的に実行できるようタスクを組むのが望ましいです。最近の私のタスクを掲載します。

朝活2

 自主勉強の時間が1時間に増えました。自己鍛錬に「筋トレ」「瞑想」「タスク管理」の項目を追加しました。日課に「シャワー」「血圧測定」「リステリンで歯を磨く」の項目を追加しました。どうやってタスクを増やしたのかと思われるかもしれませんが、種明かしをすると起床時間が1時間早くなっています。ただし筋トレとタスク管理は毎日やっていませんので、実際は30分早い時間に起きる習慣となっています。

  1. 起床、更衣、体重測定:日課なので変更困難なタスクです。
  2. 筋トレ自主練 朝:これまでスポーツジムで筋トレやランニングを行っていましたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響でジムトレーニングをするのが難しくなりました。自宅で自主練をするのなら朝にやるのが効率良いのではないかと考え、朝にタスクに追加しました。現在、1日おきで行っています。「Nike Training Club」というアプリを利用するとヘルスケアにワークアウト時間が自動で記録されるのでよく使っています。新型コロナウィルス騒動が落ち着けばスポーツジムでのトレーニングを再開し、朝の筋トレタスクを終了するかもしれません。
  3. シャワー:朝にシャワーを浴びることで頭が引き締まり作業効率が上がるのではないかと考え開始しました。ただし夏限定で冬は休止するかもしれません。
  4. 髭剃り:朝と入浴中2回行うことで、朝の髭剃り時間を短縮させました。
  5. 暗記復習 午前:前日に覚えたことを復習しています。
  6. 自主勉強 朝:最も重要なタスクです。最近は英語の勉強に時間を使っています。
  7. m3ポイント確認 (朝):朝に行うべきか模索中ですがつい見てしまいます。
  8. 血圧測定:毎日血圧と体温を計るようにしました。新型コロナウィルス流行の前から行っていましたが、現在は感染対策の良い指標になっています。血圧計はヘルスケアに自動記録される機種を購入しました。体温計は15秒で結果が出る予測式体温計を使っています。発熱していないか分かれば良いので十分です。
  9. 洗面、朝食:日課なので変更困難なタスクです。
  10. リステリン:口臭エチケットのため日課に取り入れました。朝食後と入浴後の1日2回行っています。
  11. 自主勉強 午前:最も重要なタスクです。最近は専門医試験の勉強に使っています。
  12. タスク管理:中長期的に実行する仕事や勉強のタスクを考える時間です。勉強時間に回していることもあります。
  13. 瞑想:1回5分、1日2回(朝・夜)の短い瞑想を行っています。目を閉じ椅子の上であぐらをかいた姿勢をとるだけです。何も考えず息づかいだけを感じるように試みます。想像以上にリラックス効果があり、またやるべきことやアイデアがふいに頭に浮かぶことがあるので習慣化しました。もう少し時間を増やした方が良いのでしょうが、私は5分以上すると雑念にとらわれるので短時間で済ませています。瞑想アプリで使用しているのは「Meditopia」です。有料サービスに移行しなくても一部のヒーリング音楽を聞くことができるので、タイマー代わりに流しています。
  14. 休憩:自由時間です。勉強に弾みがついている時は使わない時もあります。
  15. トイレ:日課なので変更困難なタスクです。
  16. スラックタスク(朝):出勤までの余った時間です。大抵は出勤の準備に費やしていますが、長く余ったときは暗記復習や読書に時間を割り当てています。

  現在も朝活のメニューは随時変更しています。朝に1時間の勉強時間を確保できれば、随分余裕ができます。夜に疲れた体に鞭打って勉強するよりも知識の習得率が良いと実感しています。私は出勤時間が早いので起床時間が早くなっています。9時に業務開始の方はもっと余裕を持って朝活ができると思います。私はこのような朝活を続けることで専門医試験を毎年1発合格しています。日々の業務が大変だと思いますが、ぜひ朝に時間を作り勉強を習慣化していきましょう。