片頭痛急性期の治療は、軽度~中等度のときは、アセトアミノフェンやNSAIDsを用い、中等度~重度のときはトリプタンを用います。発作時は静かな暗い場所で安静にするか、冷却が有用なこともあります。今回、片頭痛の治療(発作時)の要点を紹介します。
急性期治療(慢性頭痛の診療ガイドライン2013)
推奨薬剤
- アセトアミノフェン
- NSAIDs
- トリプタン
- 制吐薬
頭痛の重症度に応じた層別治療
- 軽度~中等度:NSAIDs、NSAIDs+制吐薬
- 中等度~重度または軽度~中等度で過去にNSAIDs効果なし:トリプタン、トリプタン+制吐薬
薬剤使用方法
トリプタン:1時間以内の早期服用
妊娠中の薬剤対応
- アセトアミノフェン(カロナール®):経験的に安全
- スマトリプタン(イミグラン®):胎児奇形の異常増加なし
授乳中の薬剤対応
Relative infant dose(RID)が10%以下の薬剤は比較的安全
- 解熱鎮痛薬:アセトアミノフェン、イブプロフェン(ブルフェン®)、ロキソプロフェン(ロキソニン)は使用できる
- トリプタン:エレトリプタン(レルパックス®):RID 0.2%、スマトリプタン皮下注:RID 3.5%は使用できる
妊娠中の投与により催奇形性・胎児毒性を示す証拠が報告されている薬剤
- 妊娠初期:バルプロ酸
- 妊娠後期:NSAIDs(インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン®)など)
急性発作中の患者指導
静かな暗い場所、冷却
月経時の片頭痛治療
トリプタン:リザトリプタンが比較的有効(Maasumi L et al. Headache. 2017; 57:194-208.)
トリプタンの使い分け
- 頭痛強度が高度:リザトリプタン(マクサルト®)
- 頭痛強度が軽度~中等度:エレトリプタン、効果不十分な場合はリザトリプタン
- 上記で不十分、強い嘔吐:スマトリプタン点鼻(スマトリプタン皮下注)
月経関連片頭痛
ナラトリプタン(アマージ®)もしくはリザトリプタン。治療効果不十分な場合はNSAIDs同時服用
妊娠・授乳時
- まずはアセトアミノフェン
- 妊娠時、スマトリプタン
- 授乳時、エレトリプタン