出血性脳卒中の画像鑑別

出血性脳卒中

 出血性脳卒中では、原発性脳腫瘍や転移、MRI T1短縮を来す疾患を鑑別する必要があります。出血しやすい腫瘍には肺癌、乳癌、膠芽腫などがあります。T1高信号を示すものには出血の他、脂肪・高蛋白液体(高粘稠性)・淡い石灰化などがあります。今回、出血性脳卒中の画像鑑別を紹介します。

出血性脳卒中の画像鑑別

  • 出血性腫瘤をみたら、転移や原発性腫瘍、T1短縮を来す病態を考慮する

出血を呈する腫瘍

転移原発性腫瘍
肺癌膠芽腫
乳癌退形成性乏突起膠腫
甲状腺癌脈絡叢癌
肝臓癌Papillary glioneuronal tumor
絨毛癌Atypical teratoid/rhabdoid tumor
腎癌Germinoma(基底核)
胃癌・結腸癌リンパ腫
悪性黒色腫神経鞘腫
 下垂体腺腫
 海綿状血管奇形

MRI T1WI高信号の原因

水分子の運動に制限脂肪
 出血(メトヘモグロビン)
T1値を短縮する物質:常磁性体など高蛋白液体
 下垂体後葉
 常磁性体(Gd造影剤など)
surface effect淡い石灰化
 その他

小児・若年者の出血性脳卒中

  • 小児・若年性の出血をみたら動静脈奇形を考慮する

もやもや病

  • 原因不明の実質内やくも膜下出血、脳室内出血をみたらもやもや病を考慮する
  • 小児例では虚血性症状、成人例では頭蓋内出血の発症が多い
  • 脆弱なもやもや血管や合併する小動脈瘤からの出血を生じる

可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)

  • 20-40歳代女性に頭痛を伴う出血をみた場合、可逆性脳血管攣縮症候群を考慮する
  • 突発性の頭痛
  • 20-50歳の女性に好発(男女比 1:2~3)
  • 危険因子:産褥・薬物・カテコラミン分泌腫瘍・高カルシウム血症など
  • 診断基準
    • 突然(数分~数時間)の激しい頭痛で発症し、1-2週間持続ないし反復する
    • 画像診断で多発性多分節状の脳血管攣縮
    • 脳血管攣縮は可逆性で、12週間以内に正常化し、頭痛補佐も後遺症なく改善する
    • 脳動脈瘤破裂や脳血管炎など器質的な病態によるくも膜下出血の除外

海綿状血管奇形

  • T2WIでの内部高信号と低信号の混在:ポップコーン様の所見をみた場合は海綿状血管奇形を考慮する
  • 単層内皮を有する類洞の集族からなる血管奇形
  • 流入動脈、nidus、流出静脈はない
  • 内部の血栓や様々な時期の出血を反映しCT, MRIでは様々な濃度・信号を呈する
  • T2WIでの内部高信号(メトヘモグロビンやグリオーシス)と低信号(デオキシヘモグロビンやヘモジデリン)の混在:ポップコーン様

静脈洞血栓症

  • 皮質下出血をみた場合、近傍の静脈(洞)を注意深く観察する
  • 頭蓋内静脈に血栓を形成し、静脈灌流傷害により静脈性浮腫や梗塞・出血を来す
  • MRIで血栓の経時的変化(デオキシヘモグロビン、メトヘモグロビンなど)に伴う信号変化を熟知する
  • CTA(時には4D)、磁化率強調像での皮質ないし髄質静脈内のデオキシヘモグロビン濃度上昇等が診断に有用

脳動脈瘤破裂

  • 破裂動脈瘤で実質内血腫が目立つことがある

COVID-19関連脳卒中の画像所見

  • 急性または亜急性脳梗塞
  • 白質病変
  • FLAIRでの皮質信号異常
  • 微小出血
  • 髄膜造影効果
  • PRES
  • 脱髄病変
  • 硬膜静脈血栓症
  • 嗅球の信号異常・拡張
  • 急性壊死性出血性脳症
  • Miller-Fisher, Guillain-Barre syndrome
  • 低酸素虚血性脳症