片頭痛最新治療(ガルカネズマブ)の要点

片頭痛治療

 片頭痛の最近治療として、ガルカネズマブが2021年4月に発売されました。CGRPを標的とするモノクローナル抗体で、三叉神経から放出されるCGRPをブロックし、片頭痛の発症を予防します。今回、片頭痛最新診療の要点を紹介します。

ガルカネズマブ(エムガルティ®)

  • 片頭痛の原因物質であるCGRP(calcitonin gene-related peptide)を標的とするヒト化モノクローナル抗体
  • 片頭痛の発症を抑制し、予防薬として期待されている

CGRPの作用

  • α-CGRP:三叉神経に分布し、片頭痛に関連
  • β-CGRP:腸管神経系に多く分布
  • 緊急時(立ちくらみ・失神など)に作動し、脳血管を拡張し、脳血流を維持する物質と考えられた
  • 片頭痛では、CGRPが過剰に発現し、脳(髄膜)血管の拡張作用や神経原性炎症を介して発作を引き起こすと考えられている(三叉神経血管説)

片頭痛のメカニズム

  • 脳血管周囲の三叉神経からCGRPが放出され、血管拡張や炎症を起こす
  • 血管拡張と血漿蛋白の漏出により神経原性炎症を起こす

三叉神経の役割

  1. 三叉神経が脳(髄膜)血管や頭蓋外組織からの痛み信号を脳に伝える(感覚神経)
  2. 逆向性伝導によりCGRPを放出→血管拡張・炎症を起こし、片頭痛が生じる
  3. 脳内クロストークにより、放散痛を起こす

片頭痛とセロトニン・CGRPとの関連

  1. 脳内セロトニンの枯渇、減少
  2. セロトニンによりコントロールされていた三叉神経が興奮
  3. 三叉神経から脳の血管にCGRPが放出
  4. CGRPが血管拡張、周囲に炎症
  5. 拍動性頭痛

片頭痛治療薬

  • セロトニン低下→5Th1b/1d作動薬(トリプタン)が有効
  • CGRP放出→抗CGRP抗体(ガルカネズマブ)が有効

トリプタン製剤

 発作治療薬。三叉神経のセロトニン1B/1D受容体を刺激し、CGRPの放出を抑制する。半減期は2-5時間で急性期治療薬として使用する。

抗CGRP/R抗体

 発症抑制薬(予防薬)。片頭痛を起こす標的CGRPを放出後にブロック。半減期が約30日、月1回の皮下注射。分子量が大きく、脳・肝・腎などに移行せず副作用が少ないと期待される。