脳卒中専門医試験でポイントになりそうな話題(DOACとPFO中心)

脳梗塞

 脳卒中専門医試験でポイントになりそうな話題について、最近のトピックを中心に取り上げます。今回はDOACの容量調節と卵円孔開存(PFO)による脳梗塞(奇異性脳塞栓症)のポイントを取り上げました。

(注)真偽が不正確な箇所もありますので、ご自身で再確認した上で参考にしてください。

DOACの容量調整

DOACダビガトラン
(プラザキサ ®)
エドキサバン
(リクシアナ®)
リバーロキサバン
(イグザレルト®)
アピキサバン
(エリキュース®)
推奨投与量NVAF:150mg1日2回  
P糖蛋白阻害薬併用時:110mg 1日2回
年齢≧70歳, 消化管出血既往:110mg 1日2回
NVAF:60mg1日1回
VTE:急性期ヘパリン治療後、60mg1日1回  
体重≦60kg:30mg 1日1回
P糖蛋白阻害薬併用時: 30mg 1日1回  

下肢整形外科術後:30mg1日1回
NVAF:15mg1日1回
VTE:15mg 1日2回21日間, その後15mg1日1回
NVAF:5mg1日2回
VTE:10mg 1日2回7日間, その後5mg1日2回  
Cre≧1.5mg/dl, 年齢≧80歳, 体重≦60kg :2.5mg 1日2回
容量調節(腎臓)CrCl 30-50ml/分;110mg 1日2回
CrCl<30ml/分;使用を避ける
NVAFCrCl 30-50ml/分; 30mg 1日1回
15ml≦CrCl <30ml/分; 30mg 1日1回慎重投与

下肢整形外科術後CrCl 15-30ml/分; 15mg 1日1回
CrCl<15ml/分;使用を避ける
CrCl 30-49ml/分; 10mg 1日1回
15ml≦CrCl <30ml/分; 10mg 1日1回慎重投与
CrCl<15ml/分;使用を避ける
CrCl 15-30ml/分; 2.5mg 1日2回 CrCl<15ml/分;使用を避ける
容量調節(肝臓)CTP A:調整不要
CTP B:注意して使用
CTB C:使用を避ける
CTP A:調整不要
CTP B: 使用を避ける
CTB C:使用を避ける
CTP A:調整不要
CTP B: 使用を避ける
CTB C:使用を避ける
CTP A:調整不要
CTP B:注意して使用
CTB C:使用を避ける
  • NVAF:非弁膜症性心房細動
  • VTE:静脈血栓塞栓症
  • CTP:Child-Turcotte-Pugh分類
  • P糖蛋白阻害薬: キニジン、ベラパミル、エリスロマイシン、シクロスポリン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ジルチアゼム、アミオダロン、HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル等)等
  • VTEに関しては今後変更される可能性あり

脳梗塞分類

TOAST分類:5分類

large-artery atherosclerosisアテローム血栓性脳梗塞
cardio-embolism心原性脳塞栓症
small-vessel occlusionラクナ梗塞
stroke of other determined etiology他の原因による脳梗塞
stroke of undetermined etiology
・2つ以上の原因
・原因不明(塞栓源不明脳塞栓ESUSを含む)
・不完全な検査
原因不明の脳梗塞(cryptogenic stroke 潜因性脳卒中)

NINDS分類:臨床病型は4分類

発症機序による分類・血栓性
・塞栓性
・血行力学性
臨床病型・アテローム血栓性脳梗塞
・心原性脳塞栓症
・ラクナ梗塞
・その他の脳梗塞
病巣や灌流域による症候・内頚動脈
・中大脳動脈
・前大脳動脈
・椎骨脳底動脈  
 椎骨動脈  
 脳底動脈  
 後大脳動脈

奇異性脳塞栓症と卵円孔開存

  • 卵円孔開存等(PFO)の右左シャントを介して右心系の血栓が左心系へ流入して発症すると考えられるもの
  • 2017年に、卵円孔開存を有する潜因性脳梗塞の再発予防として、経皮的卵円孔開存閉鎖術の有効性と安全性が示された

RoPEスコア

 卵円孔開存が脳梗塞発症にどの程度寄与するかを予測したスコア(0-10点)。9-10点の患者の88%は、卵円孔開存が脳梗塞発症に寄与していた。

各因子点数
高血圧なし1
糖尿病なし1
脳梗塞・TIA既往なし1
喫煙なし1
画像での皮質梗塞あり1
年齢(歳) 
18-295
30-394
40-493
50-592
60-691
70-0

卵円孔開存の関与がありうる潜因性脳梗塞の診断基準

  1. 卵円孔開存を有し、塞栓性機序が考えられる
  2. 単一穿通枝領域脳梗塞(ラクナ梗塞など)でないことのMRI(またはCT)での同定
  3. 梗塞巣に関連する頚部動脈または脳動脈の閉塞ないし50%以上の狭窄が存在しない
  4. 高リスク塞栓源心疾患が存在しない(後述)
  5. 大動脈原性脳塞栓症の確診例ではない
  6. 脳梗塞を起こしうる特殊な原因(血管炎、動脈解離、可逆性脳血管攣縮症候群、薬剤不正使用、血栓性素因、悪性腫瘍など)が存在しない

高リスク塞栓源心疾患

  • 左房内血栓、左室内血栓
  • 心房細動、発作性心房細動
  • 洞不全症候群
  • 持続性心房粗動
  • 1か月以内の心筋梗塞
  • リウマチ性僧帽弁・大動脈弁疾患
  • 機械弁
  • 28%未満の低駆出率を伴う陳旧性心筋梗塞
  • 30%未満の低駆出率を伴う鬱血性心不全
  • 拡張型心筋症
  • 非感染性血栓性心内膜炎、感染性心内膜炎
  • 乳頭状線維弾性腫
  • 左房粘液腫

経皮的卵円孔開存閉鎖術の適応基準

1.必須条件

  • 卵円孔開存の関与があり得る潜因性脳梗塞の診断基準に合致した患者
  • 閉鎖術施行後一定期間の抗血栓療法施行が可能と判断される患者
  • 原則として、60歳未満の患者
  • (女性の場合)妊娠していない、かつ1年以内の妊娠を希望しない患者

2.推奨基準

  • 下記のような機能的・解剖学的に高リスクの卵円孔開存を有する場合
    • シャント量が多い
    • 心房中隔瘤(atrial septal aneurysm:ASA)の合併
    • 下大静脈弁(Eustachianvalve:EV)の合併
    • キアリ網(Chiari network)の合併
    • 安静時(非バルサルバ負荷下)右左シャントを有する
    • 長いトンネルを有する卵円孔開存
  • 適切に施行された抗血栓療法中に上記潜因性脳梗塞を発症した場合

マイクロバブルテスト

  • シャントなし:0個
  • Grade 1: 1-5個
  • Grade 2: 6-19個
  • Grade 3: 20個以上

経皮的卵円孔開存閉鎖機器

PFOオクルーダー

PFOオクルーダー

術後管理

  • 抗血小板薬1剤投与中であれば、本治療施行の周術期は抗血小板薬2剤併用療法(例えばアスピリン+クロピドグレル)に変更、抗血小板薬2剤投与中であればそれを継続し、本治療施行後最低1か月間は2剤で加療を継続する。それ以降は、抗血小板薬1剤(アスピリン等)に減量する。
  • 抗凝固療法のみを継続している症例で本治療の施行が可能かどうかを判断できる科学的根拠は、現時点では示されていない。本邦において心房中隔欠損症例に対する経皮的閉鎖術が施行される場合、抗凝固療法をそのまま継続して、あるいはさらに1剤の抗血小板薬を追加して行われているのが実状である。

植込み型心電図記録計

心房細動検出を目的とする植込み型心電図記録計検査の適応となり得る潜因性脳梗塞の診断基準

  1. 単一穿通枝領域梗塞巣(ラクナ梗塞など)でないことのMRIでの同定
  2. 梗塞巣に関連する頸部動脈または脳動脈の閉塞ないし50%以上の狭窄が存在しない
  3. 高リスク塞栓源心疾患が存在しない
  4. 奇異性脳塞栓症の確診例でない
  5. 大動脈原性脳塞栓症の確診例でない
  6. 脳梗塞を起こし得る特殊な原因(血管炎、動脈解離、片頭痛、血管攣縮、薬剤不正使用、血栓性素因など)が存在しない

高リスク塞栓源心疾患(PFOでの高リスク塞栓源心疾患と同じ)

  • 左房内血栓、左室内血栓
  • 心房細動、発作性心房細動
  • 洞不全症候群
  • 持続性心房粗動
  • 1か月以内の心筋梗塞
  • リウマチ性僧帽弁・大動脈弁疾患
  • 機械弁
  • 28%未満の低駆出率を伴う陳旧性心筋梗塞
  • 30%未満の低駆出率を伴う鬱血性心不全
  • 拡張型心筋症
  • 非感染性血栓性心内膜炎、感染性心内膜炎
  • 乳頭状線維弾性腫
  • 左房粘液腫

以下の記事も参考にしてください

脳梗塞の病型分類の要点

潜因性脳卒中(Cryptogenic stroke)の分類まとめ

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yshima脳神経内科医
認知症専門医の資格を持つ脳神経内科医です。 神経内科専門医・指導医、総合内科専門医・指導医、認知症サポート医。 M.D., Ph.D.