認知症専門医になるにはどうすれば良いか?その方法を解説します。また合格後の手続きについても説明します。

認知症専門医の申請法

 認知症専門医の申請資格を得る条件は日本認知症学会の「専門医制度」で解説されていますが、新専門医制度の開始により認知症専門医の資格条件も一部変更されました。一番の変更点は教育セミナーで研修期間振替できた制度が廃止となり、「本学会認定の教育施設において3年以上の研修を修了していること」が必須となりました。本記事では、新専門医制度で変更になった箇所を中心に、認知症専門医になるための条件について解説します。

教育セミナーを研修期間に振り替えていた医師は移行措置試験を受ける必要がある

 これまでは教育セミナーを受講することで「教育施設の研修修了」扱いとされていましたが、この条件で認知症専門医を取得した医師は「移行措置試験」を受けて合格する条件が新たに追加されました。以下が模式図になります。

認知症専門医の移行措置試験
日本認知症学会「認知症学会専門医試験をこれから受験する予定の先生へ」

 このような措置に至った理由は日本専門医機構が専門医の要件として「(1)認定教育施設での3年間の研修歴と、(2)試験合格」を求めているためです。日本認知症学会は日本老年精神医学会と専門医の共通化を行った後、日本専門医機構に加盟を目指す計画を立てています。そのため、今後「3年以上の教育施設での研修」が要求されると考えますので、認知症専門医を目指す医師は勤務先に認知症指導医が所属しているかを意識する必要があります。なお移行措置試験は「認知症専門医試験問題・解説集」をマスターしていれば合格できる難易度だそうです。

認知症専門医申請の条件

 認知症専門医申請の条件は以下の通りです。

  1. 日本認知症学会に3年以上所属していること
  2. 認知症の臨床に従事していること(認知症学会公式サイトで公開される)
  3. 直近3年間に1回以上、本学会学術集会に参加していること
  4. 本学会認定の教育施設において3年以上の研修を修了していること
  5. 認知症関連学会(後述)の専門医資格を有すること
  6. 専門医もしくは理事・監事・評議員・名誉会員1名の推薦を受けること
  7. 申請時に認知症の症例報告書を3例提出すること

 1と2は文章の通りです。専門医になると公式サイトで名前が公開されることを同意する必要があります。3の認知症学会学術集会の参加については、発表は必要ないようです。この点は条件が優しいです。4は教育セミナーの参加で代用できなくなりますので今後注意が必要です。認知症学会認定の教育施設とは認知症指導医が所属している施設です。ただし認知症指導医が自分の所属する科にいなくても条件は満たすそうです。この点はハードルが低くて助かります。

 5の認知症関連学会は、日本精神神経学会、日本神経学会、日本老年医学会、日本リハビリテーション医学会、日本内科学会、日本脳神経外科学会、日本老年精神医学会の7つです。これらの学会の専門医資格を取得していることが条件になります。日本内科学会は総合内科専門医であって認定内科医ではありませんので注意です。私は神経学会専門医で申請しました。6は大学の医局に所属しているかでハードルが高くなりますが、教育施設で3年研修する必要がありますので、その時の専門医の先生に頼むのが良いでしょう。

 7の症例報告書はアルツハイマー病の症例を必ず1つ入れることを条件にしています。書き方は認知症学会のサイトに「症例報告書の見本」がありますので参考にしてください。2000-2500字(3000字まで)を目安にしています。私は以下の症例で提出しました。

  1. 認知症を伴うパーキンソン病 (PDD):入院症例、重点分野「診断」
  2. ビタミンB12欠乏症、慢性硬膜下血腫:入院症例、重点分野「治療方針・計画」
  3. アルツハイマー型認知症:外来症例、重点分野「治療方針・計画」

 症例報告書の見本では最後に参考文献を載せています。必須ではないようですが、できるだけご記入くださいと書いてあります。文献探しで悩む時は「認知症疾患 診療ガイドライン2017」や「認知症テキストブック」に載っている文献を参考にすれば良いと思います。

 提出書類は10種類(一部不要なものあり)ありますので入れ忘れのないように注意してください。特に間違えやすいのが、認定申請書5部(原本1部とコピー4部)、症例報告書5部(ID・施設名あり2部、ID・施設名なし2部)です。申請書にある会員歴は認知症学会の事務局にメールで問い合わせれば教えてくれます。症例報告のIDは任意の番号で良いようですが、私はあとから参照しやすいように患者IDをそのまま使いました。症例1~3をまとめてホチキスで左肩を綴じます。症例報告数が少ないのでそこまで手間ではありませんでしたが、早く論文投稿のようにオンライン申請に移行して欲しいものです。

認知症専門医試験合格後は公式サイトに載せる紹介文と教育施設用の研修計画書を作成する

 無事試験に合格すると、認知症学会事務局より公式サイトに載せる紹介文と認知症指導医取得のための教育施設用の研修計画書の提出を求められます。紹介文については申請書の時にすでに書いていますのでそれを流用しても良いですし、新しく作っても良いです。公式サイトの認知症専門医一覧を参考に作成してください。氏名、施設名、住所、電話番号、受診方法を記載しているところが多いです。  

 教育施設用の研修計画書は必須ではないですが、認知症指導医を同時に取得できますので申請した方が良いでしょう。計画書の作成については見本を参考にすることができます。ただし文章形式が同じだと修正を求められます。私は「認知症疾患 診療ガイドライン」から病名や学習内容を参考に新しく作ったのですが、研修の流れが見本とほぼ同じだったためか再提出を求められました。2回目は内科学会と神経学会の研修計画書の様式を参考にして見本と異なる形式で再提出したところ通りました。また関連施設との関係を明らかにするため模式図を入れることも求められました。2回目の提出では特にコメントもなく通りましたので、よほどの不備がなければ大丈夫なのかもしれません。研究計画書作成の参考になればと思います。

以下の記事も参考にしてください。

認知症専門医試験の勉強で役立つ書籍、勉強法を解説します

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yshima脳神経内科医
認知症専門医の資格を持つ脳神経内科医です。 神経内科専門医・指導医、総合内科専門医・指導医、認知症サポート医。 M.D., Ph.D.