癌関連脳卒中の要点

癌関連脳卒中

 癌患者における脳梗塞発症リスクは約2倍と高く、血液凝固異常や化学療法・放射線治療と関連していると言われています。画像所見では多発性脳塞栓症が多いです。治療は低分子ヘパリンなどの抗凝固薬が推奨されています。今回、癌関連脳卒中の要点を紹介します。

Trousseau症候群

  • 1865年 Armand Trousseauは胃癌患者に認められた遊走性血栓性静脈炎を報告
  • 1936年Gross L, Friedberg CKが、悪性腫瘍に伴う非細菌性血栓性心内膜炎(NBTE)の重要性を指摘
  • 1977年Sack GHがワルファリン無効、ヘパリン長期治療有効を報告
  • 1997年Walsh-McMonagle D, Green Dが低分子ヘパリンの有効性を指摘

Cancer associated thrombosis(CAT)

  • 癌に合併するVTE 4-20%, 動脈血栓塞栓(ATE) 2-5%
  • 癌患者における脳梗塞のリスク約2倍
  • ステージ4では癌診断1ヶ月後の脳梗塞リスク10倍

CATの病態

  • 血液凝固異常:組織因子発現、ムチンの放出、血小板活性化、内皮細胞障害
  • 非細菌性血栓性心内膜炎の発症
  • 奇異性脳塞栓症
  • 化学療法の影響(プラチナ製剤・血管新生阻害剤等):癌から微小塞栓が放出
  • 放射線療法:vasculopathy→動脈硬化促進
  • 共通の危険因子:喫煙・肥満など
  • psychological stress
  • 易出血性による抗血栓薬の中断

脳梗塞患者における癌との関連

  • 入院患者脳梗塞の約10%に癌合併
  • 肺癌、胃癌、乳癌などの固形癌が多い
  • Dダイマーが有用なバイオマーカー
  • 多血管領域脳梗塞(Three-territory-sign)

ESUS(Embolic stroke of undetermined sources)と癌合併の手がかり

  • 喫煙歴
  • 原因不明の体重減少
  • D-dimerの上昇(>2.785μg/ml)
  • CRPの上昇
  • 貧血の存在
  • 低アルブミン血症

CATに対する抗凝固療法

入院中の予防的抗凝固療法

  • 易出血性や禁忌がなく、急性疾患や移動能力低下している症例では予防的な抗凝固療法を推奨

癌関連VTEに対する抗凝固療法

  • 急性期低分子ヘパリンまたはヘパリン、またはDOAC (エドキサバン、アピキサバン、リバーロキサバン)を適宜使用。その後低分子ヘパリン、DOACを6ヶ月間使用。その後は癌の活動性や化学療法併用状況に準じて継続を慎重に判断する
  • 脳梗塞に対するエビデンスはまだ確立されていない