介護保険主治医意見書の書き方まとめ

介護保険

 介護保険主治医意見書は高齢者・認知症者の生活を支援する上で、非常に重要な書類です。要介護決定には、一次判定(コンピュータによる判定)と二次判定(介護認定審査会)があり、前者は介護病名、後者は実際の日常生活の内容と介助内容を記載すると効果的です。本記事では、介護保険主治医意見書の書き方をまとめました。

介護サービスの分類

  • フォーマルサービス:介護保険制度内で利用されるサービス
  • インフォーマルサービス:介護保険制度を使用しないサービス(家族・近隣・ボランティアによるサービス)

介護保険サービスが受けられる年齢

 通常は、65歳以上だが、認知症などの特定疾病に該当する人は40歳から受けることが可能。

特定疾病

  1. がん
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靭帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱菅狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

 上記疾患に該当すれば、病名の1番目に記載するようにする。たとえ心不全が主病名でも、歩行可能で認知症がある場合は、介護度の観点からは「認知症」の優先度が高い。

介護病名

介護保険申請の流れ

  1. 住民から市町村へ介護保険申請
  2. 調査員による認定調査+主治医意見書提出
  3. 一次判定:コンピュータによる判定←この時、主治医意見書に書かれた「病名」が重要
  4. 二次判定:(2)+(3)+介護認定審査会←この時、主治医意見書の「コメント」が重要
  5. 要介護度決定
  6. ケアマネージャー・事業所決定。介護プラン計画・実施

要支援・要介護の状態

 要支援は1~2、要介護は1~5に分類される。

  • 要支援1:トイレや食事はほとんど自分で可能。要介護状態にならないための手助けが主体
  • 要支援2:トイレや食事はほとんど自分で可能。日常の複雑な動作に何らかの介助(見守りや手助け)が必要。
  • 要介護1:トイレや食事はほとんど自分で可能。今後、運動機能の悪化の可能性がある、または認知機能低下がみられる。
  • 要介護2:トイレや食事に何らかの介助が必要。身の回りの世話に何らかの介助が必要。歩行や移動の動作に何らかの支えを必要とする。部分的な介助が必要。
  • 要介護3:トイレなどの身の回りの世話が一人でできない。移動や立位が一人でできないことがある。いくつかの問題行動や理解の低下がみられる。全面的な介助が必要。
  • 要介護4:トイレなどの身の回りの世話がほとんどできない。移動や立位が一人でできない。多くの問題行動や理解の低下がみられる。
  • 要介護5:トイレや食事ができない。移動や立位が一人でできない。多くの問題行動や理解の低下がみられる。介護なしでは生活ができない状態。意思疎通困難。

要支援・要介護で受けられるサービスの目安

 以下のサービス内容は目安であり、自治体により基準は異なる。

  • 要支援1:週1回のホームヘルプサービス、月2回のショートステイ。
  • 要支援2:月2回のショートステイ、週2回のヘルパー、福祉用具の貸与(歩行器、車椅子など)。
  • 要介護1:週1回の訪問看護と週3回のヘルパー。週2回のデイサービス。3ヶ月に1週間程度のショートステイ。福祉用具の貸与。
  • 要介護2:要介護1のサービスに準じる。
  • 要介護3:週1回の訪問看護と週2回のヘルパー。週3回のデイサービス。毎日1回、夜間の巡回型訪問介護。2ヶ月に1週間程度のショートステイ。福祉用具の貸与。特別養護老人ホームは要介護3以上が必要。
  • 要介護4:週2回の訪問看護と週6回のヘルパー。週1回のデイサービス。毎日1回、夜間対応型訪問介護。2ヶ月に1週間程度のショートステイ。福祉用具の貸与(車椅子、特殊寝台)。
  • 要介護5:週2回の訪問看護と週5回のヘルパー。週1回のデイサービス。毎日2回、早朝・夜間対応型訪問介護。1ヶ月に1週間程度のショートステイ。福祉用具の貸与。

主治医意見書記載のポイント

障害高齢者の日常生活自立度(J, A, B, C)

  • J=自立、A=外出に介助を要する、B=屋内でも介助を要する、C=寝たきり
  • J1=交通機関を利用できる、J2=隣近所まで出かける
  • A1=ほぼベッドから離れた生活、A2=ベッドで寝たり起きたりの生活
  • B1=一人で車椅子移乗できる、B2=介助で車椅子に移乗
  • C1=寝返りをうてる、C2=寝返りをうてない

認知症高齢者の日常生活自立度(I, II, III, IV, M)

  • I=ほぼ自立、II=軽度認知症(見守りレベル)、III=中等度認知症(要介護)、IV=高度認知症(常時介護)、M=BPSDあり
  • I=認知症症状があっても生活は自立している
  • IIa=家庭外で問題(迷子、買い物・金銭管理のミス)、IIb=家庭内でも問題(服薬管理、電話対応、訪問者の対応ができない)
  • IIIa=日中中心に介護を要する(着替え、食事、トイレが上手にできない。火の不始末、徘徊など)、IIIb=夜間中心に介護を要する(IIIaに加えて、夜間徘徊、夕暮れ症候群など)
  • IV=常時介護を要する(意思疎通困難)
  • M=BPSDで医療介入を要する
日常生活動作

症状としての安定性

 疾患の症状変動ではなく、半年後に要介護状態の再評価が必要となる可能性があるかで判断する。例えばレビー小体型認知症は1日で意識・精神状態の変動がみられるが、この状態は「安定性」とは関係がない。

症状の安定性

要支援2と要介護1の違い

 以下の2条件のうちどちらかが該当すると要介護1以上に相当する。

  • 脳卒中・心疾患・外傷の急性期、慢性疾患の急性増悪、癌末期、神経難病などで6ヶ月以内に状態が大きく変わる可能性があると判断された場合。
  • 認知症で、介護保険サービスの説明を受けても理解が困難な場合

経過記載のポイント

 認知症の診断があると、要介護1以上になりやすい。ただし、認知症の医学的重症度を詳細に書くよりも、実際の日常生活と介助内容を記載した方がより効果的である。経過欄や特記事項欄には、「食事」「トイレ」「移動」「服薬管理」の状態を書くようにする。疾患の予後よりも、介護の予後が求められる。

介護保険主事意見書の経過
特記すべき事項
  • 食事:「食事はセッティングすると自分で食べられる」vs「介助しないと自分で食べない」
  • トイレ:「トイレは誘導すると自分でできる」vs「おむつ状態」
  • 移動:「見知った場所は一人で外出できる」vs「迷子になる、一人で外出できない」
  • 服薬管理:「促せば定期的な服薬ができる」vs「飲み忘れ、服薬拒否する」

 家事で失敗するようになった、金銭管理ができなくなった、自動車運転で事故を起こした、家に閉じこもりがちになった、興奮・暴言・暴力・物盗られ妄想・幻覚などのBPSDの有無も重要な情報である。

 介護者の状態を書くのも有用。「独居」「歩行障害のある高齢の妻と二人暮らし」など。