担癌患者の脳卒中

担癌患者の脳卒中

 癌患者の脳卒中の病態は、凝固異常・腫瘍の直接的影響・化学療法・感染(心内膜炎)などがあります。脳卒中予防には、未分画ヘパリン静注とヘパリンCa 皮下注が使用できます。DOACの有効性は明らかでありません。今回、担癌患者の脳卒中を紹介します。

疫学

  • がん、脳卒中は死因上位
  • がん治療の進歩、Cancer Survivor増加
  • 脳卒中の治療も進歩
  • 両者の合併は日常診療で遭遇
  • 血栓症はがん患者の死因の第2位(1位はがんの進行)

用語

  • Trousseau syndrome≠がんに合併した脳梗塞
    • Trousseauは胃がん患者と遊走性血栓性静脈炎合併例を報告
    • 凝固亢進以外の脳卒中もある
  • Cancer-associated(related) Stroke(thrombosis)という用語がよく用いられる
  • 主に脳梗塞が論じられるが、脳出血もある
  • Stroke Oncologyの名称が学会から提唱されている

病態

  • 凝固異常:凝固亢進・NBTE・CVT・DIC・血小板減少・奇異性脳塞栓症
  • 腫瘍の直接的影響:動脈・静脈・静脈洞への浸潤、腫瘍による血管圧迫、腫瘍塞栓、腫瘍ない出血、血管内悪性リンパ腫
  • 化学療法:血管内皮毒性、凝固・止血異常、心筋症
  • 放射線治療:大動脈プラーク、頭頸動脈動脈硬化進行、心臓弁・冠動脈・心膜の障害
  • 侵襲的処置:直接的動脈損傷、抗血栓薬中断
  • 感染:感染性心内膜炎、H.pylori・C. pneumonia・M. pneumoniaeと脳卒中の関連
  • 血管炎:真菌、VZVなど
  • 従来の機序による脳卒中
  • 複数の機序が同時に存在することもある
  • 腺癌では脳梗塞後の血栓塞栓症再発が多い
  • 急性期脳梗塞のがん合併率 4-16%
  • 急性期脳出血のがん合併率 8-15%

脳梗塞を契機に未診断がんがみつかる予測因子

社会人口学的特徴高齢
 喫煙
脳梗塞の特徴複数の血管領域の病巣
検査ヘモグロビン低値、CRP高値、D-dimer高値、フィブリノーゲン高値
転帰脳梗塞後の生命予後不良

がん患者の脳梗塞に対するrt-PA静注療法

  • 安全性・有効性は確立していない
  • rt-PA禁忌事項なく、6ヶ月以上の生存期間がある場合は有効かもしれない
  • 消化管がんではリスクが高いので害になるかもしれない
  • エビデンスレベルは低い

がん関連脳梗塞に対する抗血栓療法

抗凝固療法 
低分子ヘパリン海外では一般的。国内では使用しにくい。
未分画ヘパリン静注
ヘパリンCa 皮下注
国内で可能
ワルファリン薬剤相互作用、VitK摂取低下、INR過延長の問題
DOAC(Xa阻害薬)がん関連VTEでは低分子ヘパリンと遜色ない結果 脳梗塞では不明(現在試験中)
  • 凝固異常→抗凝固療法
  • 腫瘍の直接的影響→がん治療
  • 化学療法→ 未定
  • 放射線治療→CAS/CEA
  • 侵襲的処置→未定
  • 感染→感染防御
  • 血管炎→感染防御、ステロイドなど
  • 従来の機序による脳卒中→従来の機序に対する治療