高血圧性脳出血の現状

高血圧性脳出血

 高血圧性脳出血は降圧薬の普及により発症率・死亡率とも大幅に減少しています。しかし、高齢化に伴い血圧管理が十分でない層も増え横ばい傾向です。脳出血急性期はsBP130-139mmHgで管理すると転帰が良いと報告されています。今回、高血圧性脳出血の現状を紹介します。

疫学

  • 令和元年での脳血管疾患は死因別死亡率第4位(1位:悪性新生物、2位:心疾患、3位:老衰)
  • 1970年代からの高血圧治療の普及により、脳出血の発症率、死亡率はともに大幅に減少したが、近年では減少率が鈍化~横ばいとなっている
  • その要因として、依然として降圧薬未服用者、管理不十分者が多いことや、抗血栓薬の普及が脳出血発症や転帰不良に影響している可能性がある

高血圧性脳出血の急性期内科管理

  • 第VII因子製剤やトラネキサム酸は脳出血後の血腫拡大の抑制が期待できるが効果は限定的で、機能転帰改善効果は証明されていない
  • 現時点で、転帰改善が期待できるの内科治療は降圧療法のみ
  • 脳出血急性期では収縮期血圧130-139mmHgで管理すると最も転帰が良い可能性(Arima H, et al. Neurology 84: 464-471, 2015)
  • ただし、降圧により臓器虚血リスクが高い症例(虚血性心疾患など)では、症例に応じた緩めの降圧目標を設定する必要がある

脳内出血の転帰

  • 日本人10万人あたり約40人以上
  • mRS 0-2:40%, mRS 3-5:35%, mRS 6(死亡):25%
  • 血腫除去術の効果がヨーロッパの大規模RCT(STICH-1, 2など)によりほとんどが否定され、急性水頭症・救命のための小脳出血以外はその意味をほとんどなさなくなった

開頭手術

  • 脳室ドレナージは有効
  • STICH-1/2 (2005, 2013):皮質下出血にわずかに優位性
  • AHA/ASA guideline(2015):生命の危険のある小脳出血に有効
  • 脳卒中ガイドライン2015:31ml以上、JCS 20-30(グレードC1)
  • いずれも救命の意味はあるが脳機能的改善は疑問
  • GCS 10-13に有効

MIS(minimally invasive surgery):定位的血腫吸引、内視鏡手術

  • 保存的治療より転帰を改善する報告あり
  • 開頭手術より転帰は有意に良好だが、再出血が多い
  • 高齢者に特に有効

MISTIE:MIS+rtPA

  • 血腫減少が>70%だと、mRSが有意に増加
  • 再出血リスクあり