脳動脈瘤の血管内治療としてFlow Diverterと呼ばれる頭蓋内動脈ステントが臨床使用されています。頸動脈狭窄に対しては、頸動脈内膜剥離術(CEA)と頸動脈ステント留置術(CAS)があり、CASは80歳以上の高齢者や心肺リスクの高い患者に対して行われています。今回、頭蓋内動脈瘤、頸動脈狭窄治療の要点を紹介します。
未破裂脳動脈瘤の治療適応
- 大きさ5-7mm以上の未破裂脳動脈瘤
- 5mm未満であっても、
- 症候性の脳動脈瘤
- 後方循環、前交通動脈、及び内頚動脈-後交通動脈部などの部位に存在する脳動脈瘤
- Dome neck aspect比が大きい・不整形・ブレブを有する等の形態的特徴をもつ脳動脈瘤
頭蓋内動脈ステント(脳動脈瘤治療用Flow Diverter)
- 離脱型コイルを留置することなく、母血管に留置するだけで脳動脈瘤を閉塞することを目指す
- 母血管から脳動脈瘤への血流(拍動流)を著しく減少させて、脳動脈瘤内の血栓形成を促進し閉塞に至らせる、またFDを足場として内皮細胞が増殖し、脳動脈瘤のネック部とFDを被覆することが想定されている



※頭蓋内動脈ステント(脳動脈瘤治療用Flow Diverter)適正使用指針第3版より
頸動脈狭窄
頸動脈内膜剥離術(CEA)の適応
- 症候性頸動脈高度狭窄 70-99%(NASCET法)(グレードA)
- 無症候性頸動脈高度狭窄例も、抗血小板療法・降圧療法・脂質低下療法を含む最良の内科的治療を十分に行った上で、CEAを考慮しても良い(グレードB)
- 著しい屈曲や石灰化を伴う動脈に対しては、頸動脈ステント留置術よりもCEAが勧められる
頸動脈ステント留置術(CAS)の適応
SAPPHIRE研究における適格基準
一般基準
- 18歳以上
- 症候性頸動脈狭窄50%以上、無症候性頸動脈狭窄 80%以上
CEA高リスク基準(少なくとも一因子が該当)
- 重症心臓疾患
- 重篤な呼吸器疾患
- 対側頸動脈閉塞
- 対側喉頭神経麻痺
- 頸部直達手術または頸部放射線治療の既往
- CEA再狭窄例
- 80歳以上
CAS除外基準
- 48時間以内の虚血性脳卒中
- 完全閉塞
- カテーテル治療非適応
- 9mmを超える脳動脈瘤
- 2本以上ステントを必要とする病変
- 出血性疾患の既往
- 30日以内の外科治療の予定
- 期待余命1年未満
- 総頸動脈または腕頭動脈の起始部