脳梗塞急性期治療の要点

脳梗塞急性期治療

 脳梗塞発症4.5時間以内またはDWI-FLAIRミスマッチがあると、rt-PA静注療法と血管内治療の適応になります。ASPECTSが7点以上では転帰が良く、5点以下では症候性頭蓋内出血のリスクが高くなります。4点以下では死亡リスクに関連する。今回、脳梗塞急性期治療の要点を紹介します。

脳梗塞急性期治療

  • 発症4.5時間以内→DWI-FLAIRミスマッチがあればrt-PA静注療法、血管内治療
  • 発症24時間以内→血管内治療

NIHSS:脳卒中の急性期再開通療法の適応判断、治療開始後の効果判定、転帰予測に有用

rt-PA静注療法で注意するべき基礎疾患

急性大動脈解離

  • 胸部・背部痛・耳の痛みなどの関連痛の有無
  • 左右の脈拍触知
  • sBP左右差≧20mmHgまたは右上肢sBP≦110mmHg
  • 左片麻痺が多い
  • Dダイマー高値(≧4.1μg/ml)
  • 胸部X線上の上縦隔胸郭飛≧0.32

画像診断

ASPECTS(CT)またはDWI-ASPECTS(MRI)

  • 10点満点(DWI-ASPECTSは深部白質を加えて11点満点)。
  • DWI-ASPECTS≦5点はrt-PA静注療法の効果が低い
  • DWI-ASPECTS≦6点は転帰が不良
  • DWI-ASPECTS≧7点は良好な転帰。≦5点で症候性頭蓋内出血、≦4点で死亡と関連。
  • コア体積25ml: DWI-ASPECTS 7点(感度96%, 特異度 96%)
  • コア体積50ml: DWI-ASPECTS 6点(感度84%, 特異度 95%)
  • 微小脳出血が11個以上ある場合は症候性頭蓋内出血のリスクが高い
ASPECTS

脳梗塞急性期における降圧基準

  • rt-PA投与前(または機械的血栓回収療法前):sBP≧185mmHgまたはdBP≧110mmHg
  • rt-PA投与後(または機械的血栓回収療法後):sBP>180mmHgまたはdBP>105mmHg
  • 再灌流療法非適応:sBP>220mmHgまたはdBP>120mmHg

抗凝固療法

  • DOAC最終服用後4時間以内は凝固マーカーの値に関わらずrt-PA静注療法の適応外
  • 非弁膜症性心房細動に対するワルファリン・DOACは発症2週間以内に開始することが推奨されている。
  • 脳梗塞急性期のヘパリン投与は脳梗塞再発リスクを下げるが出血リスクも上げるため推奨されない。
  • DOAC開始の1-3-6-12ルール:TIA 1日、軽症 3日、中等症では6日、重症では12日以降。ただし科学的根拠はない。
  • 周術期にヘパリンブリッジを支持するデータはない。

弁膜症性心房細動リウマチ性僧帽弁疾患(狭窄症)、機械弁置換術後

非弁膜症性心房細動:弁膜症がない心房細動、生体弁、僧帽弁修復術後、リウマチ性でない僧帽弁疾患

  • ワルファリン中和薬:プロトロンビン複合体製剤(4F-PCC)、ビタミンK併用でINR再上昇抑制
  • ダビガトラン特異中和薬:イダルシズマブ

抗血小板薬療法

DAPT(dual antiplatelet therapy)

対象:high risk TIA(ABCD2スコア≧4)、軽症脳梗塞(NIHSS≦3)

DAPT期間:21日以内(14日以内)

投与量:クロピドグレル(初回 300mg/日, 2日目以降 75mg/日)+アスピリン100mg/日

クロピドグレルの薬剤耐性

 CYP2C19に遺伝子多型があり、薬剤代謝に個人差がみられる。日本人の2人に1人がCYP2C19の代謝異常がみられる。ただ臨床的に脳卒中再発率に差があるかは未確定である。