脳卒中急性期管理(脳卒中治療ガイドライン2021)

急性期管理

 脳卒中治療ガイドライン2021における脳卒中急性期管理はせん妄の対応を重視しています。短期間の条件で、非定型抗精神病薬、α2作動性鎮静薬(デクスメデトミジン)などの投与を推奨しています。今回、脳卒中急性期管理の改訂点を紹介します。

急性期管理の改訂点

  • 急性期には呼吸、血圧、体温、意識を持続的にモニターする必要があり、これらの管理のためにStroke Unitの使用が推奨される
  • 入院時にはせん妄のリスク評価を行い、適切に予防、対応する必要がある
  • 合併症を予防し、機能回復を促進するために、24-48時間以内に病態に合わせたリハビリテーションの計画を立てることが推奨される
  • また機械的血栓回収療法を行う場合には、Drip, Ship and Retrieve法よりも、Mothership法の方が予後を改善させる可能性がある

急性期呼吸管理

  • 急性期脳卒中の患者では呼吸状態、舌根沈下の有無、肺音を定期的に評価し、呼吸および経皮的動脈血酸素飽和度を持続的にモニターすることが勧められる(推奨度A エビデンスレベル高)

急性期血圧管理

  • 急性期脳卒中の患者では血圧、脈、心電図を継続的にモニターすることが勧められる(推奨度A エビデンスレベル高)
  • 機械的血栓回収療法を施行する場合、血栓回収前の降圧は必ずしも必要ないが、血栓回収後には速やかな降圧を行うことは妥当である(推奨度B エビデンスレベル中)。一方、血栓回収中および回収後の適度な血圧低下は避けるように勧められる(推奨度E エビデンスレベル中)

意識レベル、せん妄管理

  • 脳卒中患者では速やかに意識障害の評価を行い、その後も定期的に意識レベルの変化を観察するべきである(推奨度A エビデンスレベル低)
  • 全ての脳卒中患者では入院時にせん妄のリスク評価を行い、高齢、認知症、アルコール多飲などのせん妄リスクが高い場合は、チューブ類の使用制限や身体拘束の工夫などによるせん妄の予防、定期的なせん妄症状の評価を行うことが勧められる(推奨度A エビデンスレベル中)
  • せん妄に対し非定型抗精神病薬、α2作動性鎮静薬(デクスメデトミジン(プレセデックス®))、定型抗精神病薬などの薬剤投与が勧められるが、環境調整を併用しなるべく短期間にとどめるべきである(推奨度A エブデンスレベル中)
  • 脳梗塞超急性期の血栓回収療法時には、鎮静薬のみの意識下または全身麻酔のいずれかを考慮してもよい(推奨度C エビデンスレベル低)

痙攣対策

  • 急性期症候性発作に対して開始した抗てんかん薬は、その後の発作の有無、脳波異常を評価した上で、漸減中止を考慮しても良く、漫然と投与しない(推奨度B エビデンスレベル低)

地域連携

  • Drip and Ship法やDrip, Ship and Retrieve法により、急性期脳梗塞患者に対する再開通療法を安全に行うことができる可能性がある(推奨度C エビデンスレベル中)。機械的血栓回収療法を行う場合は、Drip, Ship and Retrieve法よりも、Mothership法の方が予後を改善させる可能性がある(推奨度C エビデンスレベル低)。また状況によって、Drip and Drive法を考慮してもよい(推奨度C エビデンスレベル低)

Clinical Question

脳卒中急性期のリハビリテーションは、いつから開始することが推奨されるか?

回答

合併症を予防し、機能回復を促進するために、24-48時間以内に病態に合わせたリハビリテーションの計画を立てることが推奨される(推奨度A エビデンスレベル高)